東京都市大学 校友会 都市 vol.10 2023 March
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■横浜キャンパス年表6中村 政府の「留学生10万人計画」により、キャンパス設置の条件の一つとして1学年30人の留学生を受け入れることをめざしていて、4年間で120人ですから特にアジアを中心に国際色豊かでした。横井 教員構成も当時から今で言うダイバーシティーの考え方があったように思います。英語ネイティブの先生も多く、女性教員の比率も世田谷キャンパスに比べて高かったですね(初年度教員31名中、男性24名、女性7名)。学部長の小沼先生の方針で、教員陣は、本学、他大学、そして企業・官庁からそれぞれ3分の1の比率でなるべくバランスよく構成されていました(初年度構成員では、本学11名、他大学14名、企業・官公庁等6名)。中村 今はどの大学にも実務家教員の方がいらっしゃいますが、当時このように意識的に集めるのは新しかったのではないでしょうか。横井 私は世田谷キャンパスに10年間在籍した後に移籍しましたが、横浜キャンパスの教授会では、さまざまな分野の専門家が揃っていましたので、根本を押さえかつ最新の社会常識の中にいることのできる刺激のある場でしたね。横浜キャンパスに対する先生方の希望や期待をお聞かせください。横井 ある領域で成功した組織は、成功体験の基となった方針に適合した結果、硬直化を招くと言われています。研究にしても学びにしても、自然界にも存在する「1/fゆらぎ」のように、いい意味で揺らぎを持てる余裕を持つことで、外部環境の変化に対応できる組織であってほしいと思います。私はそのために、学内の教育における情報システムの提案・実験・実証・構築に取り組んでいます。できたゆとりを学生との交流や研究活動の活性化にあてられるといいと願っています。吉田 学生との交流といえば、私は1期生の学生たちと今もつながりがあるのですが、学生たちが卒業してもつながっていたい大学であってほしいです。漠然とした言い方になりますが、そのために振り返ってみて自分にとってよかったなと思えるような出会いや体験をたくさんしてほしいなと思っています。中村 いろいろ試せる場所であってほしいですね。横浜キャンパスは、世田谷キャンパスとは少し離れた場所で、やんちゃな末っ子という感じでいろいろやってきた伝統があります。これからも学生がのびのびと自分がやりたいと思ったことをやれる場所であってほしいです。吉田 自分たちで「村の分校」と呼んでいましたからね(笑)。ここだからできることがあると思うのです。今回のデザイン・データ科学部は、学部の新設というだけでなく、横浜キャンパスとしてまた新しいスタートが切れるとよいですね。コロナ禍で制約もありますが、人的交流を図り、学生も教員も垣根を超えていろいろなことが学べるとよいと思います。三川 垣根を超えるのが横浜キャンパスのよさということですね。先生方、本日はありがとうございました。(この座談会は2022年11月15日に実施されました)1997年4月1998年10月・ 環境情報学部がISO14001認証を取得2001年4月・ 大学院環境情報学研究科修士課程環境情報学専攻開設2002年4月・環境情報学部に情報メディア学科を増設2005年4月・大学院環境情報学研究科博士後期課程開設2009年4月2013年4月2019年4月・ 環境マネジメント学科を環境経営システム学科と改称・ デザイン・データ科学部デザイン・データ科学科開設 2023年4月 ・横浜キャンパス開設 環境情報学部環境情報学科開設・武蔵工業大学と東横学園女子短期大学が統合し、 東京都市大学に校名変更・ 環境学部 環境創生学科、環境マネジメント学科を開設・ メディア情報学部 社会メディア学科、情報システム学科を開設・ 大学院環境情報学研究科に修士課程都市生活学専攻を増設予定 垣根を超えて交流し 新しいことを試せる場に三川 その後、開設時の環境情報学部環境情報学科の1学部1学科体制が、2002年度に2学科に増設され、2013年度には2学部4学科体制に改組されました。それによってどんな変化がありましたか?横井 もともと環境情報学部は分野融合の学びと、分野横断的アプローチによる課題解決を掲げ、英語表記もEnvironmentalandInformationStudiesと記していた通り、環境と情報を同じ重みでかつ密接に連携することを大事にしていました。ですから1学科2学科体制になっても、学生は環境と情報のどちらの最先端も学べるカリキュラムになっていました。中村 教授会も学部全体で集まっていろいろな意思決定をしましょうと意識してやっていましたね。横井 最初の頃は「火曜会」という集まりもあって、教員同士が自分の研究領域での話題を紹介して、積極的に異分野間交流を図っていました。分野の違う話が非常に新鮮で勉強になりました。学生も聴講していました。中村 学部長の小沼先生の提案で、教員がほかの先生の授業に自由に出ていいですよというルールもありました。今はFD(FacultyDevelopment/大学の授業改善の取り組み)のための授業参観はありますが、当時は学生と同じ立場で手を挙げて質問する先生もいらっしゃいました(笑)。今は以前より忙しくなってそういうおおらかさが足りなくなっているかもしれませんね。吉田 そうですね。私は英語科目なので両方の学部で教えていますが、学生も他学部の先生のことはほとんど知らないようですね。三川 学生数も教員数も増えて変化はあるのですね。2023年4月には、デザイン・データ科学部が開設されます。最後に今後の

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