校友会 会報 12号 2025 March
16/32

オープンキャンパス 学科説明会場オープンキャンパス 学科展示会場都市大・原研の航空写真工学部自然科学科となってからは5年目、現在の定員は60名です。歴史ある他学科の皆さまから教えられ支えられて歩んで参りました。2019年度の水害、2020-22年度のコロナ禍と、厳しい状況が続いており、学科の教育だけでなく全学の数学・理学の基礎教育をも担っている自然科学科各教員は、オンライン授業への対応等で多忙を極めておりましたが、学生さんたちのため、本学の発展のため我々にできることをしっかりやって参りたいと思っております。この場をお借りして自然科学科メンバーの2024年の研究活動を一部ご紹介いたします。中島保寿准教授らの研究グループは日本最古のウミガメ類となる骨化石を、鹿児島県の約1億年前の地層から発見しました。また、1986年に香川県で発見された背骨化石を白亜紀のさまざまな恐竜やその他の爬虫類と比較し、同化石がハドロサウルス類の背骨であることを同定しました。西村太樹准教授らの研究グループは、宇宙観測技術をベースとした多層半導体コンプトンカメラを用い、原子核から放出されるガンマ線の偏光をとらえ、原子核の内部構造を明らかにできることを示しました。福田達哉教授らの研究グループは、渓流沿い植物における水流ストレスの低減には葉の主要部分である葉身(ようしん)だけでなく、葉身と茎をつなぐ葉柄(ようへい)の形質も変化させてきた可能性を明らかにしました。原子力安全工学科では2024年度に46名の新入生を迎えました。新型コロナが落ち着いたことを受けて2022年度から再開されたフレッシャーズキャンプですが、2024年度には日本原子力研究開発機構の大洗研究所を訪問しました。また、大洗わくわく科学館にて原子炉の実寸大オブジェや燃料集合体の模型を見学し、実際の原子炉のスケールを実感しました。翌日には新入生全員を世田谷キャンパスの大教室に集め、放射線測定のグループワークを実施しました。このグループワークでは、各グループがキャンパス内の自然放射線を測定し、グループ発表を通して放射線に関する知識を深めました。世田谷キャンパスでは、敷地の約1/3に相当する建物をリニューアルする工事が進められています。2022年度の第1期工事の完了後、原子力安全工学科の全研究室は新10号館の最上階フロアに移転しました。2024年度には第2期工事が完了し、卒業生の皆さんが過ごされた旧10号館跡地には新たな建屋が建てられました。本学科では、ここ数年の日本国内における原子力に対する期待の高まりに応えるべく、学生の意識の醸成、研究教育環境の整備、教員数の増強に努めており、数年後の「都市大創立100周年」に向けて更なる発展を目指しています。今後も優秀な人材を社会に送り出すべく、積極的な活動を展開してまいりますので、ご支援・ご指導の程、宜しくお願い申し上げます。「応用化学科」に名称変更した2021年度の入学生が4年生になり、全学年に応用化学科の学生が在籍することとなりました。2024年度は70名の新入生を迎え、2024年10月現在で317名(うち女子学生111名、留学生6名)が応用化学科/エネルギー化学科で学んでいます。4月のフレッシャーズキャンプでは、学科研究会(化源会)上級生の協力のもと、1日目は学内でのグループ研修と交流会、2日目は上野公園と国立科学博物館での学外研修を行い、新入生同士ならびに上級生や教職員との交流を深めました。8月に行われたオープンキャンパスでは2日間で500名を超える高校生・保護者の皆様に来場いただき、学科説明会場は立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。また、通常の授業日にも東京・神奈川エリアの高校生が学科フロアの見学に来るなど、多くの皆様に注目いただけていることを嬉しく思います。学科運営では、11研究室、12教員の指導体制で日々の教育と研究にあたっています。多様化し複雑化する社会課題を「化学の力」で解決に導く人材を育成するため、教職員一同、一層努力してまいる所存です。校友会の皆さまには、今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。大洗わくわく科学館にある原子炉実寸大オブジェの前で新入生の記念撮影都市大・原子力研究所の活かし方都市大・原子力研究所は、1960(昭和35)年に開設されました。開所以来、小型の研究用原子炉を活用し、原子炉の中性子を利用した癌治療や、放射化分析法による極微量元素分析など、国際的にも注目を集める成果を挙げてきました。しかし、1990年12月末、原子炉の照射室の壁床面に水の浸み出しがあり、原子炉の運転を停止し、長期間の検討の末、2003年に原子炉施設を廃止することを決定しました。ところで、温室効果ガスの放出をしない電源として、全世界的に原子力発電の注目度が高いことが感じ取られます。安全はもとより、社会ニーズにこたえることができる原子力発電・原子力利用を創造していくことは更なる研究と社会へのアピールが必要となります。さて、この動きに、20年以上前に原子炉を閉じた都市大・原研がどのような貢献ができるでしょうか。都市大・原研には廃止措置の段階にある原子炉のほか、様々な研究ためのインフラと機器が備わっています。冶金観察機器に関しては世田谷キャンパス・ナノテクセンターなどとは比較になりませんが、都市大・原研では指定された数量以下での放射性同位体が利用でき、尚且つごく微量のγ放射体の検出が可能なゲルマニウム半導体検出器が複数台設置されています。また、陽子線を照射できるタンデム加速器が運用されており、種々の検出器を組み合わせた放射線計測が可能です。都市大・原研の将来をどう描くか?この命題は我々研究者だけの考えでは大した解は得られないのではないかと思います。そこにヒントをあたえてくれると考えているのが、地元の方々との勉強会活動・レクレーションです。このような活動を通じて、原子力がどのように地元の人たちに見られているのか確認しながら、当該施設の運営に努めていこうと考えています。主任教授 鈴木 徹主任教授 橋本 義武自然科学科は定員25名で発足してから2024年度で16年目となります。理主任教授 黒岩 崇原子力研究所所長 佐藤 勇■原子力安全工学科■自然科学科■応用化学科■原子力研究所15 |都市 vol.12学科だより

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る