校友会には、多様な規模・属性の同窓会活動を充実させ、個々の会員が心から求めるつながりを得られる基盤の一つとなることで、母校と社会の発展に寄与することが求められています。古い友人や、恩師・先輩との再会は楽しいものです。年齢差が小さく、スケールの小さいコミュニティへの会員の思い入れは強いものがあります。クラス会、部活で同じ釜の飯を食い、勝った負けたで涙した仲、研究室で実験、研究とちょっとばかりの麻雀に一喜一憂した人たちなどです。また、学科同窓会や同期卒業の全学科のコミュニティ、クラブ同窓会など、少し大きなコミュニティになっても、同じ学科を卒業した、同じ先生に学んだ、同じ監督に指導を受けたなどの共通点や、同じ学科でも勉強内容や勉強の仕方が大きく変わったなどの相違点があり、そのことで会話がはずむものです。ルの同窓生コミュニティです。上記のスケールの比較的小さいコミュニティに比べて会員の帰属意識は必然的に小さくならざるを得ません。それでもなお、校友会が強固な組織でなければならない理由は何でしょうか。理由の一つは、世代を超えた、あるいは小さなコミュニティにとどまらない人間関係の中から、時にある人の人生を大きく左右するような出会いが生まれることです。実際に、多くの若い会員たちが、先輩の温かい助言やサポートによって、自分のキャリアパスを見出しています。また、先輩の一言が仕事の行き詰まりを突破するきっかけを与えた例も多くあります。若いころに先輩から手を差し伸べられた人は、年を重ね、今度は自分が誰かに手を差し伸べる人になるのではないでしょうか。そのようなつながりの連鎖が、永遠に続いてゆくのが校友会の活動だと思います。手を差し伸べる方法には、共に行動する、助言をするといったものから、どなたかの公での発言、講演、著作物がヒントとなって自分の行動に結びついてゆくものまで多様です。しかし、同窓であるというたった一つの共通項が、そのような関係が生まれる可能性を高くしてくれます。わが校友会の現状を見たとき、充実した活動を阻害している要因は少なくありません。また、実施している事業には改善の余地があるものも多く、また、従来アイデアとしては議論されたものの実現に至っていないことも多くあります。校友会の使命は、地方支部、学科同窓会、小さな規模の同窓会の活動が活発に行えるよう、財政支援、環境整備、人をつなぐ支援を行うことです。若いころ、ある先生に教えていただいた「ある小さな物語」(作者不詳)をお示しします。This is a story about four people named Everybody, Somebody, Anybody and Nobody.1. There was an important job to be done and Everybody was sure that Somebody would do it.2. Anybody could have done it, but Nobody did it.3. Somebody got angry about that because it was Everybody's job.4. Everybody thought Anybody could do it, but Nobody realized that Everybody wouldn't do it.5. It ended up that Everybody blamed Somebody when Nobody did what Anybody could have done.この物語の教訓の一つ目は、評論家で終わらないことです。行動につなげるべきだと思います。気づいただけで行動しないのは、気づかないより悪いと思うようにしたいものです。教訓の二つ目は、人任せにしないことです。自分で直接手を下すべきと判断すれば即行動するべきです。もし他の適切な方が行動するべきであるなら、その方が行動できるようにサポートすることが重要です。老若男女の別なく、より多くの仲間が行動する会に校友会が成長し、上記の使命を全うできるよう、皆さんと共に歩んでゆきたいと思います。東京都市大学校友会 会長皆川 勝(1979土木)3.批評で終わらせず、自ら行動を!1.心からのつながりを得られる多様な同窓会活動2.手を差し伸べられる人から、手を差し伸べる人へそのように見たとき、校友会は母校にとっての最大スケー手を差し伸べられる人、手を差し伸べる人2024 秋田支部総会1 |都市 vol.12巻頭言
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